とろみ剤の基本的な理解と必要性
とろみ剤とは何か
とろみ剤とは、食べ物や飲み物に加えて混ぜるだけで、適度なとろみをつけることができる粉末状等の食品です。一般的な料理で使用される片栗粉とは異なり、加熱しなくても簡単にとろみをつけることができる特徴があります。また、片栗粉は温度が下がったり唾液と混ざることによってとろみが弱まりますが、とろみ剤は温度に関係なく、混ぜた量だけとろみがつくので簡単に調整もできます。
高齢者の食事にとろみが必要な理由
摂食嚥下障害をもつ人にとって誤嚥のリスクが最も高い食品は水であり、「摂食嚥下障害者はスプーン一杯の水で溺れる」という言葉が示すように、水の流動性の高さと凝集性の低さが問題となります。加齢によって飲み込む筋力が低下し(嚥下障害)、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうことを誤嚥といいます。高齢者の場合は飲み込むスピードが遅く、サラサラとした汁物などが特に気管に入り込みやすく、むせてしまう恐れがあります。
水を飲もうとした時に、口腔や咽頭内で素早く動き、ばらばらに動くため、水は最も嚥下とのタイミングを合わせにくい食品となり誤嚥のリスクが高まります。また、食べ物や口内の細菌が肺に入ってしまうと、炎症を起こし、誤嚥性肺炎を発症するリスクもあります。とろみをつけることで口腔咽頭内でまとまりがよくゆっくり流れてくれるので、誤嚥のリスクが低減されます。
とろみの3段階分類
薄いとろみ
中間のとろみほどのとろみの程度がなくても誤嚥しない、より軽度の症例を対象としています。口に入れると口腔内に広がり、飲み込む際に大きな力を要しません。コップを傾けると落ちるのが少し遅いと感じるが、コップからの移し替えは容易であり、細いストローでも十分に吸えます。
中間のとろみ
明らかにとろみがあることを感じるが、「drink」するという表現が適切なとろみの程度です。口腔内での動態はゆっくりですぐには広がらず、舌の上でまとめやすくなります。スプーンで混ぜると少し表面に混ぜ跡が残り、スプーンですくってもあまりこぼれません。
濃いとろみ
重度の嚥下障害の症例を対象としたとろみの程度で、中間のとろみで誤嚥のリスクがある症例でも、安全に飲める可能性があります。明らかにとろみがついており、まとまりが良く、送り込むのに力が必要な程度のとろみです。
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